速い。悪路にも強い。そして何より、見た目がカッコいい。 2026年型「Jeep Recon」は、そんな魅力を持った電動SUVだ。 ただし、このクルマには大きな問いがある。 EVに懐疑的なJeepファンを、このクルマは本当に振り向かせることができるのか? 自動車業界では、EVを取り巻く環境がここ数年で大きく変化した。かつては自動車メーカーが競うようにEVを投入していたが、購入インセンティブの縮小や規制、消費者の意識の変化によって、従来型パワートレインへの関心も再び高まっている。 そんな中で登場するのがReconだ。 開発には長い時間がかかり、発売も何度か延期された。しかし、ついにJeep初の本格的なオフロード志向EVとして市場に姿を現した。 Wagoneer Sにも使われているユニボディベースのEVプラットフォームを採用しながら、Reconは明確に悪路走破性を重視している。 一見すると「電動Wrangler」のように思える。 しかし、実際に北カリフォルニアのワインディングロードと険しいトレイルを走らせてみると、その印象は少し変わった。 Reconは単なる電動Wranglerではない。 Reconには、Recon独自のキャラクターがある。 史上最強の電動Jeep Wranglerに乗ったことがある人なら、そのクルマが速さを最大の武器にしていないことは知っているだろう。 … 2026年型Jeep Recon試乗記――670馬力の電動オフローダー、その実力は?Read more
First Drive
2026年型Kia PV5試乗記――VW ID.Buzzに挑む、実用的で楽しい電動バン
ユニークなスタイル、広大な室内空間、そして予想以上に楽しい走り。 Kiaが送り出した電動バン「PV5 Passenger」は、実用車というカテゴリーにもう一度ワクワク感を取り戻そうとしている。 一見すると、単なる箱型のEVにしか見えないかもしれない。しかし実際に乗ってみると、このクルマには1960年代の「フォルクスワーゲン・タイプ2・マイクロバス」に通じる自由な雰囲気がある。 Kia自身がそう主張しているわけではないものの、PV5はまさに現代版マイクロバスとも呼べる存在だ。 では、フォルクスワーゲンの「ID.Buzz」はどうなのか。 ID.Buzzはタイプ2を現代的に再解釈したEVとして魅力的な存在だが、PV5と比べると少し作り込みすぎているようにも感じられる。そして何より高価だ。 MotorTrendの試算では、装備を充実させたPV5 Passengerの価格は約4万ドルになる見込み。これは米国で販売されるID.Buzzのエントリーグレードのおよそ3分の2に相当する。 安価で、実用的で、そしてちょっと変わっている。 PV5の魅力は、そこにある。 商用車のために生まれた新世代EVプラットフォーム PV5は、Hyundai Motor Groupが開発した新しい「E-GMPS」電動車プラットフォームを採用する最初のモデルだ。 E-GMPSは、ヒョンデ・アイオニック5やKia … 2026年型Kia PV5試乗記――VW ID.Buzzに挑む、実用的で楽しい電動バンRead more
Ford GTX1試乗記――名車Ford GTをさらに過激なオープンカーへ
フォードGTといえば、ル・マン24時間レースでフェラーリを打ち破った伝説のGT40を現代によみがえらせた、アメリカを代表するスーパーカーの一台だ。 そんなFord GTを、さらに大胆な姿へと変貌させたモデルが「GTX1」である。 最大の特徴は、もちろんルーフがないこと。 Ford GTの美しいクーペボディをベースに、ルーフを大胆に切り取り、ロードスターへと仕立て直している。しかも単なるワンオフのショーカーではなく、Genaddi Design Groupによって実際にコンバージョンが行われたスペシャルモデルだ。 オープン化によってボディ剛性は低下する。それでもシャシーを補強し、エンジンにも手を加え、足元には専用の大径ホイールを装着。 その結果生まれたGTX1は、もともと存在感の強かったFord GTをさらに刺激的な存在へと変えていた。 GT40にも存在した「ロードスター」という血統 GTX1を理解するには、まずGT40の歴史を振り返る必要がある。 1960年代のGT40といえば、ル・マンでフェラーリを打ち破ったレーシングカーとしてあまりにも有名だ。 しかし、GT40にはクーペだけでなく、ロードスター仕様も存在していた。 1966年のセブリング12時間レースでは、シェルビー・アメリカンのロイド・ルビーとケン・マイルズがロードスター仕様のGT40をドライブ。そして、このクルマは見事に勝利を収めている。 … Ford GTX1試乗記――名車Ford GTをさらに過激なオープンカーへRead more
Chrysler ME Four-Twelve試乗記――フェラーリ・エンツォを超える850馬力の怪物
2004年、デトロイトモーターショーに突如として姿を現した一台のスーパーカーが、自動車業界を騒然とさせた。 その名はChrysler ME Four-Twelve。 クライスラーと聞けば、当時のアメリカではミニバンや大型SUV、実用的な乗用車を思い浮かべる人が多かった。そんなブランドが、ミッドシップにV12エンジンを搭載し、850hpを発揮するスーパーカーを本気で作ろうとしていたのだ。 しかも、ターゲットとしていたのはフェラーリ・エンツォ。 クライスラーが掲げた性能目標は、0-60mph加速2.85秒、1/4マイル10.6秒、終速136mph。最高速度は248mphとされていた。 数字だけを見れば、当時の世界最高峰に位置するスーパーカーそのものだ。 しかしME Four-Twelveは、単なるモーターショー用のコンセプトカーではなかった。クライスラーは実際に走行可能なプロトタイプを製作し、サーキットで開発テストまで行っていた。 「これは偽物ではない」 ME Four-Twelveがデトロイトモーターショーで発表された当初、多くの人はこれを現実的な市販車とは考えていなかった。 あまりにも突飛だったからだ。 当時のクライスラーは、フェラーリやランボルギーニ、ポルシェのようなスーパーカーブランドではない。そんなメーカーが、850hp級のミッドシップV12スーパーカーを本気で市販化しようとしているとは、誰も簡単には信じられなかった。 ライバルメーカーからは、企業のエゴを満たすためだけのショーカーだという見方さえあった。 … Chrysler ME Four-Twelve試乗記――フェラーリ・エンツォを超える850馬力の怪物Read more
日産の新世代e-POWERを試す――2027年型ローグ ハイブリッドはEVの走りを実現できるか
日産が北米市場でハイブリッド攻勢に乗り出す。その中心的な役割を担うのが、2027年型「ローグ ハイブリッド」に搭載される第3世代のe-POWERだ。 e-POWERそのものは決して新しい技術ではない。すでに海外市場ではさまざまなモデルに採用されており、今回試した第3世代システムも、以前に日産キャシュカイで体験したものの進化版にあたる。 ただし、今回のe-POWERはこれまでより大型・重量級の車両に適した仕様へと改良されている。日産にとって、北米で本格的にハイブリッド市場へ参入するための重要な一歩となるシステムだ。 ガソリンエンジンは「発電専用」 e-POWERの最大の特徴は、その構造にある。 2027年型ローグ ハイブリッドには、1.5リッター直列3気筒ターボエンジンが搭載される。ただし、一般的なガソリン車のようにエンジンが直接タイヤを駆動するわけではない。 このエンジンの役割は、あくまで発電だ。 エンジンで発電した電力によってバッテリーを充電し、その電力を使って電気モーターが車輪を駆動する。つまり、走行中に車輪とガソリンエンジンは直接つながっていない。 日産はこの方式を「シリーズハイブリッド」と位置づけており、e-POWERでは100%電気モーターによって車輪を駆動する。トヨタなどの一般的なハイブリッドシステムとは、この点が大きく異なる。 ホンダのハイブリッドシステムも状況によってはシリーズハイブリッドに近い動作をするが、高速走行などではエンジンを機械的に駆動系へ接続することがある。一方、日産のe-POWERはそこまで行わず、エンジンを発電専用として使うことにこだわっている。 225馬力の電動AWD 2027年型ローグ ハイブリッドでは、前後に電気モーターを搭載することで4WDを実現する。 システム全体の最高出力は225hp。前輪側には202hp・243lb-ftのモーター、後輪側には134hp・144lb-ftのモーターを搭載する。 … 日産の新世代e-POWERを試す――2027年型ローグ ハイブリッドはEVの走りを実現できるかRead more
2007年型トヨタ・カムリ試乗記――ベストセラーは退屈じゃない
トヨタ・カムリといえば、アメリカでは長年にわたって「安心して選べるファミリーセダン」の代表格として知られてきた。 しかし、2007年型として登場した6代目カムリは、従来のイメージを少しずつ変えようとしていた。 より力強いエンジン、引き締められたシャシー、上質になったインテリア。そして、この世代から新たに加わったハイブリッドモデル。 さらに、従来は見た目だけのスポーティ仕様に近かった「SE」も、本格的に走りを意識したモデルへと進化した。 つまり新型カムリは、単に「売れるクルマ」を作ったのではない。 ファミリーセダンとしての実用性を維持しながら、走りや燃費、装備、質感まで幅広く引き上げたのである。MotorTrendが2007年のカー・オブ・ザ・イヤーに選出したのも、こうした総合力の高さがあったからだ。 ベストセラーが大きく変わった 1980年に日本でセダンとして登場して以来、カムリは世界中で1,000万台以上を販売。 特にアメリカでは圧倒的な人気を誇り、2005年には年間40万台以上を販売して、9年間のうち8回もアメリカで最も売れた乗用車の座を獲得していた。 そんなカムリにとって、2007年型は重要なモデルチェンジだった。 ボディサイズは先代とほぼ同じ。しかし、新型は全幅が約1インチ広く、全高が約1インチ低くなり、ホイールベースは2.2インチ延長された。 全長は189.2インチで先代と変わらない。 数字だけを見ると大きな変化には思えないが、ボディのラインを引き締めたことで、新型は従来よりもコンパクトかつスポーティに見えるようになった。 特に、先代カムリに対してユーザーから寄せられていた「無難すぎる」という不満に対し、デザイン面から明確に答えを出したモデルだった。 室内空間を少し整理し、荷室を拡大 ボディサイズがほぼ変わっていない一方、室内のパッケージングには細かな見直しが施された。 … 2007年型トヨタ・カムリ試乗記――ベストセラーは退屈じゃないRead more
2026年型フォード・マスタング ダークホースSC試乗記――795馬力の怪物はGT500を超えたのか
「マスタング ダークホースSC」という名前を聞いたとき、多くのマスタングファンが思い浮かべるのは、かつてのシェルビーGT500ではないだろうか。 それも無理はない。ダークホースSCに搭載されるのは、先代シェルビーGT500にも使われていた5.2リッターV型8気筒スーパーチャージャーエンジン。そしてトランスミッションも、かつてのGT500と同じ7速デュアルクラッチ式Tremecだ。 しかし、実際に2026年型マスタング ダークホースSCを走らせてみると、単なる「GT500の焼き直し」ではないことがすぐに分かる。 最高出力は795hp、最大トルクは660lb-ft。ドラッグストリップでは10秒台のクォーターマイルを簡単に叩き出し、0-60mph加速は3秒を切ることが期待される。 しかも、このクルマの本当の魅力は直線だけではない。 ソノマ・レースウェイのロードコースに持ち込めば、従来のマスタングが持っていた「直線は速いが、コーナーでは重さが顔を出す」というイメージを大きく覆してみせる。 ドラッグストリップでは簡単に10秒台 試乗のスタート地点となったのは、カリフォルニア州のソノマ・レースウェイにあるドラッグストリップ。 まず試すことになったのは、タイヤを温めるためのラインロック機能だった。 TrackアプリのメニューからDragモードを選択し、数回ボタンを操作するだけで準備は完了。ブレーキとアクセルを踏み込めば、305/30サイズのフロント、315/30サイズのリアタイヤが激しく空転し、最大15秒間バーンアウトを続けられる。 その後はローンチコントロールを使うだけだ。 クラッチ操作は必要ない。すべてのダークホースSCには7速TremecデュアルクラッチATが搭載されているからだ。 ブレーキとアクセルを同時に踏み、スタートを待つ。そして信号が消えた瞬間にペダルを放せば、795hpのV8が一気にマスタングを前へ押し出す。 MotorTrendの試乗では、経験豊富なドラッグレーサーではないドライバーでも、最初の走行で10.86秒を記録。続く2本も10.9秒台だった。 … 2026年型フォード・マスタング ダークホースSC試乗記――795馬力の怪物はGT500を超えたのかRead more
2007年型BMW 335iカブリオレ試乗記――巧妙なルーフ機構を隠し持つツインターボ・オープン
BMWが2007年に投入した「335iカブリオレ」は、3シリーズのオープンモデルとしては少し変わったアプローチを採用していた。一般的なソフトトップではなく、金属製のリトラクタブルハードトップを備えていたのである。 しかもBMWは、ただ屋根を金属製にしただけではない。クーペらしいスタイリングを崩さず、オープン時の快適性を確保しながら、トランク容量や走りへの影響まで抑え込もうとしていた。 そして、そのボディに組み合わされたのが、当時BMWを代表する3.0リッター直列6気筒ツインターボ。300hpと300lb-ftというスペックだけでなく、ほとんどターボラグを感じさせないレスポンスも、この335iカブリオレの大きな魅力だった。 クーペのようなスタイルを守ったリトラクタブルハードトップ BMWが335iカブリオレに採用したのは、3分割構造のリトラクタブルハードトップだ。 競合車の中には、ルーフを折り畳んだ際に大きな塊がトランクスペースを占領するモデルもあった。しかしBMWは、ドイツのソフトトップメーカーであるEdscha AGと共同で、可能な限りコンパクトに収納できるルーフ機構を開発した。 その結果、ルーフを閉じた状態ではクーペに近いシルエットを維持。しかもルーフを格納しても、12.3立方フィートあるトランク容量のうち7.4立方フィートを確保している。 一方で、完全に弱点がないわけではない。ルーフを閉じたとき、フロントセクションを後方へ移動させるための2本のガイドロッドがルーフ上に残る。BMWはこれをルーフ両側のプロテクションモールのように処理しているものの、ライバル車ほどすっきりしたデザインにはなっていない。 それでも、金属製ルーフを持つカブリオレとしては非常に巧妙なパッケージングだった。 後席は広くなったが、足元には厳しさも 興味深いのは、複雑なルーフ機構を採用しながら、後席の居住性をむしろ改善していることだ。 ルーフ機構をコンパクトにまとめたことで、後席のショルダールームは3.2インチ、エルボールームは4.8インチ拡大。さらにサイドウインドウも30%大型化され、オープン時だけでなくクローズド状態でも開放感のある視界を実現している。 ただし、足元のスペースは十分とは言えない。身長5フィート6インチ(約168cm)を超える乗員にとっては窮屈に感じる可能性が高く、実際には後席を人間よりも荷物置き場として使う場面が多くなりそうだ。 そのためBMWは、後席のシートバックを倒してフラットな荷物スペースとして使えるようにした。さらに専用バッグも用意されている。 後席中央部分を外せば、トランクと室内をつなぐスルーロード機構も利用できる。ただし開口部はゴルフバッグやスキー程度を想定したサイズで、大きな荷物を自由に積み込めるわけではない。 … 2007年型BMW 335iカブリオレ試乗記――巧妙なルーフ機構を隠し持つツインターボ・オープンRead more
2026年型Aion UT試乗記:中国EVが持つ意外な強みとは?
また新しい中国車が登場した――。 近年、ヨーロッパやアジア、ラテンアメリカ、中東の道路では、これまでほとんど知られていなかった中国ブランドのクルマを見かける機会が急速に増えています。 BYDやGeelyだけではありません。Xpeng、Denza、Jaecoo、Omodaなど、新世代の中国メーカーが次々と海外市場へ進出しています。 そんな中国ブランドの新たな勢力に加わったのが「Aion」です。 Aionが中国国外で初めて車両を販売したのは2023年のタイ市場。そして2025年末には、欧州市場でコンパクト電動SUV「Aion V」の販売を開始しました。 今回、そのAion Vに続いて欧州へ投入されたのが、小型ハッチバックの「Aion UT」です。 一見すると、数ある新興中国EVの1台にしか見えません。 しかし、Aionには他の新興ブランドとは異なる大きな強みがあります。 そのブランドを背後から支えているのが、中国自動車産業の大手であるGAC(広州汽車集団)なのです。 ブランド名よりも重要なのは「誰が作っているか」 GAC Groupが設立されたのは1997年です。 長年にわたり、中国で4~5位規模の自動車メーカーとして事業を展開しており、2025年には170万台を超える車両を生産しました。 … 2026年型Aion UT試乗記:中国EVが持つ意外な強みとは?Read more
2026年型フォルクスワーゲンID.Polo試乗記:ようやく「VWらしさ」を取り戻した電気自動車
フォルクスワーゲンの新型EV「ID.Polo」は、残念ながらアメリカ市場には導入されません。 しかし、この小さなハッチバックには、アメリカのユーザーも注目する価値があります。 なぜならID.Poloは、初期のIDシリーズに見られた無機質で未来的すぎるデザインから離れ、フォルクスワーゲンらしい親しみやすさと個性を取り戻したモデルだからです。 さらに、電動パワートレインをより軽量かつシンプルな車両へ展開していくという、フォルクスワーゲンの新たな方向性も、このクルマから見えてきます。 見た目は驚くほど「普通」のEV 新型ID.Poloを初めて見たとき、まず感じるのは「普通のクルマに見える」ということです。 もちろん、車体そのものはEVとしてゼロから設計されています。しかし、デザインには長年にわたって親しまれてきたゴルフのDNAがしっかりと受け継がれています。 これまでのIDシリーズでは、既存のフォルクスワーゲンとは異なる未来的なデザインを前面に押し出していました。 特にID.3は、電動時代のゴルフを新しく作り直そうとしたようなデザインでした。 一方、ID.Poloはもっと素直です。 明るく親しみやすいスタイリングを見ると、フォルクスワーゲンの本拠地ヴォルフスブルクに根付いた伝統的なデザイン哲学が、今も生きていることを感じさせます。 EVであることを外観から判断する最も分かりやすいポイントは、右フロントフェンダーに設けられた充電ポートくらいでしょう。 それ以外は、ガソリンエンジンを搭載した従来のフォルクスワーゲンと大きく違わない印象です。 ポロなのにゴルフに迫るサイズ 「Polo」という名前が初めて登場したのは1975年です。 当時のポロはゴルフよりひと回り小さなハッチバックで、デザイン面でも兄貴分であるゴルフとの共通点を持っていました。 … 2026年型フォルクスワーゲンID.Polo試乗記:ようやく「VWらしさ」を取り戻した電気自動車Read more