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2006年型トヨタFJクルーザー試乗記――FJ40の魂を受け継いだ、本格派レトロSUV

2006年、トヨタはかつての名車「FJ40」のイメージを現代によみがえらせた。

その名は、FJクルーザー。

丸型ヘッドライト、白いルーフ、ラップアラウンド式のリアウインドウ、ほぼ垂直に立ったフロントウインドウ。そして大きく張り出したCピラー。

その姿は、1960年代から1970年代にかけてアメリカで人気を集めたランドクルーザーFJ40を明確に意識している。

しかし、FJクルーザーは単なるレトロデザインのSUVではない。

中身には4Runnerのコンポーネントを取り入れ、4.0L V6と本格的な4WDシステムを搭載。さらにロック機構付きリアデフやA-TRACトラクションコントロール、優れたアプローチアングルとデパーチャーアングルを備えている。

つまり、見た目だけでなく、きちんと「走れる」SUVなのだ。

FJ40の再来

FJクルーザーのルーツは1958年にまでさかのぼる。

この年、FJ28Vと呼ばれるランドクルーザーが日本からアメリカへ渡った。その後1960年に登場した40系ランドクルーザー、そしてその代表格ともいえるFJ40が、アメリカにおけるFJの歴史を築いていった。

FJ40は1961年から1965年にかけて、アメリカでトヨタのベストセラーモデルになるほど支持された。

それから長い年月を経て、トヨタはFJの名前を復活させることを決断した。

2003年のデトロイトモーターショーで公開されたFJクルーザー・コンセプトは大きな注目を集め、そのデザインをほぼそのまま市販車へと落とし込んだのが2006年型FJクルーザーである。

FJ40を思わせる特徴は、いたるところに残されている。

超ワイドなCピラー。

後方ヒンジ式のリアアクセスドア。

ほぼフラットなフロントウインドウ。

白いルーフ。

リアをぐるりと囲むウインドウ。

メッシュ状のグリルと、その両脇に配置された丸型ヘッドライト。

これほど分かりやすく過去のデザインを現代へ持ち込んだトヨタ車は、それまでほとんど存在しなかった。

レトロなのに古臭くない

FJクルーザーの外観は、決して繊細ではない。

むしろ少し漫画的で、かなり個性的だ。

しかし、その大胆なデザインこそがFJクルーザー最大の魅力でもある。

エクステリアデザインを担当したジン・ウォン・キムは、FJのデザインについて「頑丈さと機能性を組み合わせ、正直でモダンな表面処理を与えたもの」と説明している。

実際、FJクルーザーは単なる懐古趣味のクルマには見えない。

FJ40の面影を残しながら、現代のSUVとして成立するボリューム感とディテールを与えられている。

インテリアも「道具感」を強調

室内に入ると、エクステリアのテーマはそのままインテリアへ引き継がれている。

フロアはラバー素材で覆われ、シートには耐水性のメッシュクロスを採用。

ダッシュボードには大型の空調やオーディオ用ノブが並び、機械的な雰囲気を強く演出している。

メタリック調のトリムには、削り出しや押し出し加工を思わせるデザインを採用。

現代的な装備を備えながらも、「これは道具である」という雰囲気を失っていない。

FJクルーザーのキャビンは、豪華さを追求するタイプではない。

その代わり、アウトドアで使うことを前提としたタフさと実用性が感じられる。

中身はほとんど4Runner

FJクルーザーが本格的なオフローダーとして評価できる理由は、そのメカニズムにある。

基本的な構造はToyota 4Runnerをベースとしており、ラダーフレームも4Runnerから派生したものだ。

サスペンションも4Runnerをベースに改良されたもの。

エンジンには4.0L V6を搭載し、5速AT、4輪ディスクブレーキ、デファレンシャルなどにも4Runnerとの共通点がある。

この部品共有には大きなメリットがある。

開発期間を短縮できるだけでなく、4Runner用としてすでに豊富に存在していたアフターマーケットパーツをFJクルーザーにも流用しやすい。

つまり、購入後に自分好みのオフロード仕様へ仕上げていくことも容易だった。

本格オフローダーとしての実力

FJクルーザーは見た目だけの「なんちゃってSUV」ではない。

実際に本格的なオフロードコースを走らせてみると、その能力は明らかになる。

ロック機構付きリアデフ。

A-TRAC 4輪トラクションコントロール。

そして優れたアプローチアングルとデパーチャーアングル。

これらが組み合わさることで、FJクルーザーは日産Xterra、Hummer H3、Jeep Wrangler Rubiconといった本格派4WDと肩を並べることができる。

ベースの4WDモデルに装着されるスチールホイールも、オフロード走行を好むユーザーには好都合だ。

さらに6速MT仕様では、悪路を低速で進むためのギアリングも用意される。

クラッチインターロックを解除できる機構まで備えており、スターターモーターの力だけで障害物をゆっくり乗り越えるような走り方も可能だった。

トヨタ自身が「アメリカで最も高いオフロード性能を持つ4WD」とアピールしたのも、決して大げさではない。

一般道では意外なほど快適

では、FJクルーザーは街中ではどうなのか。

ここが面白いところだ。

走り始めると、基本的な乗り味は4Runnerに近い。

そして予想以上に落ち着いている。

空力性能も意外に悪くない。

FJクルーザーのCd値は0.397で、4Runnerの0.398をわずかに下回る。

鼻先が非常に短く、立ったフロントウインドウを持つボディ形状から想像するよりも、車内は静かだ。

乗り心地もトラックベースSUVとしては穏やか。

サスペンションは柔らかめだが、ボディの動きはきちんと抑えられている。

荒れた路面では乗員が軽く上下に揺さぶられるものの、XterraやH3のように硬い足まわりで激しく突き上げられる感覚ではない。

最大の弱点は視界

一方、FJクルーザーには明確な弱点がある。

それが視界だ。

特に斜め後方の視界はかなり悪い。

太いCピラーによって大きな死角が生まれるため、後方確認にはサイドミラーが欠かせない。

MotorTrendはその視界を、まるで「フットボールヘルメットをかぶって運転しているようだ」と表現している。

前方視界も決して広くない。

フロントウインドウは幅が広いものの、上下方向には細長い。

そのため、運転していると独特の「囲まれている」感覚がある。

FJクルーザーの個性的なデザインは、同時に視界という実用面での犠牲も生み出したわけだ。

ワインディングでは「ほどほど」がちょうどいい

曲がりくねった道に持ち込むと、FJクルーザーは意外にもスポーティに走る。

もちろん、本格的なスポーツカーではない。

しかし、6割程度のペースで走る限り、非常に扱いやすい。

ステアリングには十分な情報量があり、大型SUVらしい太いブレーキも車格に合っている。

ところがペースを7割程度まで上げると、状況が変わってくる。

スタビリティコントロールが頻繁に介入し、警告音とともにドライバーへ「タイヤが限界に近づいている」と知らせてくる。

実際、スキッドパッドでの横Gは平均0.71G、600フィートスラロームは55.7mph。

FJクルーザーは、やはりトラック由来のSUVなのだ。

4.0L V6は車重にちょうどいい

一方、ドラッグストリップに持ち込むと、FJクルーザーは意外なほどスポーティな数字を見せる。

今回テストしたのは4WD+5速AT仕様。

4.0L V6は239hp、278lb-ftを発生する。

車重は4,350ポンド、約1,973kg。

決して軽いクルマではない。

それでも0-60mph加速は7.6秒。

1/4マイルは15.9秒、終端速度86.1mphだった。

この数字は日産Xterraの7.7秒/15.8秒@87.4mphとほぼ同等。

一方、Hummer H3の11.3秒/17.7秒@77.6mphを大きく上回っている。

4.0L V6は、4,350ポンドのFJクルーザーに対して十分なパワーを提供している。

もしV8が載っていたら?

もちろん、当時の4Runnerには260hpのV8が用意されていた。

もしこのV8をFJクルーザーに搭載できれば、重量のあるFJはさらに軽快になるはずだ。

MotorTrendがトヨタのエンジニアにV8搭載の可能性を尋ねたところ、「可能だと思うが、クリアランスが厳しい」との回答だった。

当時、V8搭載の具体的な計画はなかった。

ただし、トヨタ側はFJクルーザーに特別仕様車を設定する可能性をすでに検討していた。

FJクルーザーというクルマには、それだけ大きな発展性があったのだ。

価格も大きな魅力

トヨタは2006年に、日本で生産するFJクルーザーを約46,000台販売する計画を立てていた。

そのうち90%以上が4WDになると予想されていた。

2WD仕様は5速ATのみ。

4WD仕様には5速ATと6速MTが用意された。

価格はベースの4×2が約24,000ドル、装備の充実した4×4+AT仕様でも約27,000ドルと見込まれていた。

今回のMotorTrendテスト車は推定27,500ドル。

この価格で、本格的な4WDシステムと4.0L V6、そしてこれほど個性的なデザインを手に入れられるのは大きな魅力だった。

日産Xterraとの直接対決

FJクルーザーと非常に近いキャラクターを持っていたのが日産Xterraだ。

Xterraは、アウトドアを楽しむための実用的なSUVとして高い評価を受けていた。

FJクルーザーも同じような用途を狙っている。

そこで両車を比べると、FJにはXterraとは異なる魅力がある。

まず、圧倒的に個性的なスタイリング。

そしてFJ40という歴史ある名前。

さらに、より高いヘッドルームも備える。

その一方で、リアシートのレッグルームはXterraより少ない。

つまり、FJクルーザーは実用性だけで勝負するSUVではない。

「スタイル」と「機能」の両方を求めるユーザーに向けたクルマなのだ。

スタイルか、それとも実用性か

FJクルーザーが登場した当時、ひとつの疑問があった。

スタイルと実用性、どちらが重要なのか?

しかしFJクルーザーに関しては、その答えは意外に簡単だ。

両方を持っている。

レトロなスタイリングは一目でFJ40を連想させる。

しかし中身は4Runnerベースの現代的なSUV。

4.0L V6は十分に力強く、4WDシステムは本格的なオフロード走行にも対応する。

一方で、一般道では意外なほど快適に走ることができる。

もちろん、視界の悪さやリアシートの狭さといった欠点はある。

だが、それらを補って余りあるほど、FJクルーザーには強烈な個性がある。

2006年型FJクルーザーは「本物」だった

レトロデザインのSUVは、単なるファッションアイテムになってしまうことがある。

しかしFJクルーザーは違った。

FJ40のデザインを現代に蘇らせただけでなく、その名前にふさわしいオフロード性能まで備えていた。

4Runner譲りのラダーフレーム。

4.0L V6。

4WD。

ロック機構付きリアデフ。

A-TRAC。

9.6インチの最低地上高。

34度のアプローチアングルと30度のデパーチャーアングル。

これらはすべて、FJクルーザーが単なるデザインSUVではないことを証明している。

そして約27,000ドルという価格。

FJ40の伝統を受け継ぎながら、現代の信頼性と快適性を備えたFJクルーザーは、まさに「新旧の融合」だった。

スタイルか、実用性か。

FJクルーザーなら、その両方を選べる。

それこそが、この個性的なSUVが2006年に大きな注目を集めた理由だった。

2006年型トヨタFJクルーザー 主要スペック

項目 仕様
ベース価格 25,000ドル(推定)
テスト車価格 27,500ドル(推定)
ボディ 5ドア・5人乗りSUV
駆動方式 4WD
エンジン 4.0L 60度V6、アルミブロック/ヘッド
バルブ機構 DOHC・4バルブ/気筒
排気量 3,956cc
圧縮比 10.0:1
最高出力 239hp / 5,200rpm
最大トルク 278lb-ft / 3,700rpm
トランスミッション 5速AT
ファイナル/ローギア比 3.73:1 / 2.67:1 / 2.57:1
フロントサスペンション コントロールアーム、コイル、スタビライザー
リアサスペンション リジッドアクスル、コイル、スタビライザー
ステアリング比 17.1:1
ブレーキ 前12.6インチ/後12.3インチ ベンチレーテッドディスク、ABS
ホイール 17×7.5インチ アルミ
タイヤ 265/70R17 Bridgestone Dueler H/T
ホイールベース 105.9インチ(約2,690mm)
全長×全幅×全高 183.9×74.6×71.6インチ
最低地上高 9.6インチ(約244mm)
アプローチ/デパーチャーアングル 34度 / 30度
最小回転半径 41.8フィート
車両重量 4,350lb(約1,973kg)
前後重量配分 54:46
最大牽引能力 5,000lb
0-30mph 2.5秒
0-40mph 3.9秒
0-50mph 5.7秒
0-60mph 7.6秒
0-70mph 10.3秒
45-65mph追い越し加速 4.0秒
1/4マイル 15.9秒 @ 86.1mph
60-0mph 130フィート
600フィートスラローム 55.7mph
最大横G 0.71G
MotorTrend 8の字 29.5秒 @ 0.55G
EPA燃費(推定) 17/21mpg(市街地/高速)
MotorTrend実測燃費 18.2mpg
燃料タンク 19.0ガロン
推奨燃料 プレミアム無鉛ガソリン
基本保証 3年/36,000マイル
パワートレイン保証 5年/60,000マイル

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